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チリリリッ、チリリリッ

煩い騒音が聞こえる。
聡はそれによって目覚めた。

一瞬、聡は『ここ、どこだっけ?』と困惑した様子を見せたが、
しばらくして落ち着いた。

昨日、木下霞に憑依したまま寝たということを思い出した。

時計は6時30分を指しており、起き上がった。
だが、それが自分の意思ではないことに気がついた。
自分の意思とは関係なく体が勝手に動く。

聡は、『霞の意識によって霞自身で行動している』ことを察した。
それを裏付けるかのように霞は、掛けてある鏡を見ると、自分が
パジャマではなく制服を着ていることに驚いていた。

聡は身動きができなかったため、8月29日(水曜日)、今日1日中、
霞の行動を観賞することにし、どうやったら霞の体を支配できるのかを
考えていた。

このとき、霞は『おそらく昨日、予備校で勉強に疲れてそのまま
寝てしまったのかも。』と、思い、冷静さを取り戻した。

そして、霞は1階のキッチンに行き、父、母、兄と一緒に朝食を食べた。
朝食を食べ終わると、歯を磨き、学校に行く準備をした。

7時15分、それが終わると、霞は「いってきまぁ~す」と言い、
家から出た。

そのあと、歩いて7分ほどのところにある駅『北川駅』で電車に乗る。
それから、6本目の駅『下前駅』でおり、5分ほど歩くと、中学校が見える。
木下霞が通っている学校だ。

学校の門のところに入ると、

「おはよう。」と、後ろから声が聞こえた。
それは、木下霞の友達である大山香織である。

2人で仲良く話をしながら学校の入り口に入る。

教室で席も隣同士で朝の会が始まるまで仲良く雑談している。
今日が始業式であることもあり、話題が膨らんだ。

キン~コン~カン~コン~

そして、チャイムがなり、朝の会が始まった。
そのあと、授業はなく、始業式を行い、
それが終わると、教室に戻り、帰りの会をやり、帰宅した。
今日は午前中で終わった。

下前駅に行き、電車に乗った霞は教科書を開き、勉強をした。
そして北川駅に着くと、霞は自分の家に向かった。
家に着き、自分の部屋に入ると、イスに座り、勉強を始めた。

そのとき、霞の中に入っている聡は、ずっと、聡の意識を強調し、
『手を動かす』ということを強く念じた。

すると、少しではあるが霞の手が霞の意思とは関係なく
勝手に動いた。聡は、『ついにやった!!』という達成感に満たされていた。

このことから、聡はある結論に達した。

それは、『霞の意思が強いとき(朝、昼、その他眠くないとき、疲れてないとき)は
霞の意識が強く、霞自身で行動する。逆に霞の意思が弱いとき(夜、その他眠いとき、
疲れているとき)は霞の意識が弱く、体を容易に操ることができる。』というものだった。

また、聡自身の意識が数時間のうちに徐々に弱まっていることに気がついた。
あの幽体離脱の薬を飲まない限り、どこに、だれに憑依しても、魂が削られ、
最終的には消滅することがわかった。だが、意識をずっと強調し続ければ、魂が
削られることなく存在できることがわかった。

『要するに意識が高いほうが肉体を操れるということか。』と、聡は、結論づけた。
聡は、さっそく、念を高め霞の体を操れるように努力した。

思いが通じたのか、霞の体を動かすことができた。
だが、霞の意識がまだ残っており、融通がきかなかった。

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