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他人に変身できるということを確認できた弘人は
これまでになく満足そうな笑みを浮かべながら、教室に入った。

教室に入ると、いつもどおり遥が友達同士で弘人の悪口を言っている。
弘人は遥のせいで心が傷ついた。

それを返すために彼女に復習することを誓った。

相手の皮膚に一度でも触れると自由にその相手の人に変身できる、ということを
確証した弘人は、鈴木遥に触れる機会を狙っていた。
というものの、なかなか彼女に触れる機会がない。

ということで、ある作戦に出た。
弘人はB5の紙切れに文章を書こうとしたが、思い浮かばなかったので
ラブレターと同じ内容のことを書いた。

それを手渡しするつもりである。

午後の授業、帰りの会が終わり、同級生が皆、家に帰る準備をする。

鈴木遥もカバンを持ち、教室から出ようとする。
そのとき、弘人は遥を呼び止めた。

「あの・・・鈴木さん!」

「えっ、なに?」

「あの・・・これ受け取ってください」

弘人は手渡しでラブレターを遥に渡した。
もちろん、そのとき彼女の手に触れることができた。

弘人は嬉しそうに教室から出て行った。
そして、早急にトイレに向かった。

昼休みと同様に徐々に顔つき、体つきが変わっていく。
だんだんと小柄になっていく。

数分後、鏡を見ると、学ランを着た鈴木遥がうつっていた。
弘人が顔を動かすと鏡にうつった彼女も動いた。

いつもどおりの彼女のスマイルを作る。
まったく違和感がない。鈴木遥そのものだった。

次は声を確かめた。

「ん・・・ん・・・・」

「はじめまして、私は鈴木遥です」

弘人は鏡に向かって、そう言った。誰が聞いても彼女の声だった。

弘人はついに鈴木遥の顔、体、声を手に入れたのだ。

あとは制服のみである。
このまま、遥の顔、体で学ランを着たまま教室に入ってしまうと、
大騒ぎになるので元の自分の姿に戻った。

弘人は再び、教室に入ろうとすると、遥が友達と話していたので
廊下で彼女たちの会話を聞いていた。

「あいつ、きもいよ」

「また、こんなの渡しやがった~」

友達数名「あはははは!!」

弘人はこんな会話を聞いてもへこまなかった。
なぜなら、もう少しでおもしろいことが始まるからだ。

今日は制服を奪うチャンスが無さそうなので家に帰り、計画を立てることにした。