2ntブログ
そして次の日の朝、午前6時頃のこと。
私は目を覚ました。

あまり寝てないはずなのだが、彼から生気をもらったからだろうか。なぜか身体も頭も
スッキリとしていた。

私は立ち上がり偶然姿見を見ると私の・・・・自分自身の姿に驚愕してしまった。
そこにいた私は10歳は若返っており、さらに美化された私の姿だった。

私が動くと姿見に映る少女も同様の動作をする。

ほっぺを抓ったら痛みを感じ・・・・・夢ではなく現実のようだ。

ビデオにうつっている私・・・・・夢の世界の私と同様に美しく可愛らしかった・・・・

どうやらこれも彼から生気をもらったおかげなのだろうか。

私は嬉しさのあまり気分が舞い上がってしまった。

私は棚の中を偶然開いてみるとそこには『11』と記されたDVDがあった。
どうやらこれが最後のDVDらしい。
私はそれを再生して見ることにした。

さっそくセーラー服姿の若返り美化された『私』・・・・彼が現れた。

『よぉ、有香。お前がこれを見てる頃には俺はもういないだろうな・・・・。今まで意
地悪して悪かったな・・・・。最後にこれを受け取ったほしいんだ』

彼は結婚指輪を私に見せた。

『これは大学時代に俺がアルバイトをして貯めて買ったものだ。俺はもう死んでしまっ
て結婚はできないだろうけど俺の気持ちだ。受け取ってくれ。今までありがとな。じゃ
ーな・・・・』

彼は照れくさそうに言い・・・・そこで画面は真っ暗になった。
その後はいろいろな大学時代の想い出の写真などが流れ映像はすべて流れてしまった。


「あ・・・ありがとう・・・・さようなら・・・」


私は彼の告白に改めて涙を流した。

こんなにも私のことを想っていたということを改めて実感させられた。





その後のこと・・・・

私はいつものように会社に出社したのだが私の姿の変わりように皆が驚いた。

そして月日が経ち私は会社の同僚の人と親交が深まり交際することになった。

すぐに別れるものかと思っていたのだがあれから3年後・・・・・

結婚することになった・・・・

その翌年には妊娠し男児が生まれ・・・・・・

今では家族ができ幸せに暮らしている。

こういうふうに幸せになれたのも彼のおかげだった。
あのとき彼が現れなければそのまま私は亡くなっていたのかもしれない。

私は結婚後も彼に感謝をし幸せに暮らしている。

「・・・・ありがとう・・・・健史」

私は心の中でやさしくそう囁いた・・・・。



(了)